安倍政権がめざす法人税改革が、具体的に動き出した。
法人税率引き下げと、減税分を穴埋めする別の企業向け増税を大きく2段階で進める方向。
法人税率引き下げ
安倍政権が6月(2014年)に決めた法人税改革の方針では、法人実行税率(国・地方合わせた税率)を今の34%台から数年で20%台に下げる一方、財政再建に逆行しないよう、減税分を別の増税で穴埋めする「恒久財源」を確保することも打ち出している。
政府が法人税率の引き下げを画策するのは、外国と比べて高い法人税率を下げ、外国の企業が日本で会社を設立し、その経済効果を期待するからだ。
一方、日本の企業の大半は中小企業であり、しかもその大部分が赤字で法人税を支払っていないという現状がある。
従って、法人税率を引き下げても大した影響ははないと考えている節がある。
政府は法人税を税額を上げたいと考えているので、赤字企業からも税金を集めることを増税で考えている。
減税分の穴埋め
自民、公明両党の税制調査会や財務、総務両省が「穴埋め」の軸に考えているのが、自治体が企業に課す法人事業税のうち、赤字でも給与総額など企業規模に応じて課される「外形標準課税」の強化。
今の法人事業税は、企業の儲けに応じた課税と外形標準課税を組み合わせた仕組みで、外形の納税額は全体の4分の1.
この外形の割合を2分の1~8分の5に高めれば、その分、もうけにかかる課税分が減るので、最終的な実効税率を1.5~2.3%幅下げられる計算。
ただし、資本金1億円以下の中小企業はもともと外形標準課税の対象外。
外形標準課税を強化すると、黒字企業は差し引き減税となる一方、赤字の大企業はもうけにかかる減税の恩恵がないため増税となる。
減税と増税のバランス
税制改革では、各々の立場で主張も違う。
減税と増税のバランスをどうするか、議論は続く。
◇安倍政権
当面、「ドイツ並みの29%台」への税率引き下げが目標
◇経済界・経済産業省
増税よりも減税の規模を大きくする「実質減税」で企業を後押しするよう求めている。
◇財務省・自民党税制調査会
穴埋め増税で確実に税収を確保し、財政規律を守るよう求めている。
(朝日新聞2014/10/30記事参照)