少子高齢化で目減りしていく厚生年金や国民年金といった公的年金を補うため、企業年金などの「私的年金」を利用しやすくし、加入者を増やす。厚生労働省がそんな改革に乗り出した。
改革の目玉は確定拠出年金だ。

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年金改革の背景

公的年金について厚労省は6月、100年先までの年金財政を5年ごとに点検する「財政検証」の結果を公表。

モデル夫婦が65歳で受け取る給付水準は経済成長を見込んでも、30年後には今より2割ほど低下。

現役世代の平均手取りの50~51%になるとした。
「低成長」では政府が約束する「5割」を切った。

厚労省幹部によると、「どの国も公的年金の財政は非常に厳しい。公的年金と私的年金を組み合わせ、老後の所得保障を目指していくのが先進国の大きな流れ」という

私的年金とは?

改革する私的年金は、会社員が入る厚生年金に企業や社員が掛金を出して上乗せする「企業年金」と、自営業者らを対象とした「個人型確定拠出年金」(個人型DC)などだ。

法律で仕組みが定められ、生命保険会社などが販売する「個人年金」とは異なる。

企業年金のうち、かつて主流だった「厚生年金基金」は財政難で解散が相次ぐ。

財政悪化した基金が解散させる法改正もあり、8月(2014年)時点で全508基金のうち258基金が解散方針を決めたという。

給付額を約束する「確定給付企業年金」(DB)は、運用に失敗すると企業を穴埋めしなければならない。

そのため社員が運用方法を決め、その結果で給付額が変わる「確定拠出年金」(DC)を導入する企業が増えている。

確定拠出年金(DC)とは?

2001年に導入。

企業や個人が掛金を拠出し、従業員らが選ぶ運用商品の成績次第で将来の給付額が変わる。

事業主が掛金を出し、その企業の従業員を対象とする「企業型」と、自営業者や企業年金がないサラリーマンが自分で設定した掛金を出す「個人型」がある。

運用のリスクは社員が追う仕組み。

加入者は2013年度末までの10年間で6.6倍増え、464万人となった。
(「個人型」の加入者は18万人)

モデルとなった米国の「401k」から「日本版401k」とも呼ばれた。

改革の内容

1.改革のメニューの一つが、中小企業向けの「簡易型DC制度」創設。

普通のDCは労使で拠出額を決め、社員が運用商品を選ぶ。
簡易型は、この拠出額を固定し、運用商品も限定。
手続きを簡素化して企業の負担を軽くし、導入を促す狙い。

2.DCを導入済みの企業も、社員の自己選択でより多く拠出できるルールを検討する。

DCは掛金分が非課税だが限度額がある。
DBがない会社では月5万1千円で、10月からは5万5千円になる。

企業は上限内で拠出額を決める。
企業によっては社員も掛金を追加できるが、企業の拠出金を超えられない決まりがある。
厚労省はこれを改める方向。

3.個人型DCは限度額(最大月6万8千円)の範囲で、加入者自身が掛金を決める。
ただ、専業主婦や公務員などは入れない。
厚労省は、加入対象者を拡大したい考え。
(朝日新聞2014/9/17記事参照)

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