世界で株価が下がる「世界同時株安」が止まらない。
なかでも日本の株安は突出している。
日経平均株価は2月4日(2014年)までの4営業日で1300円超(約9%)下げ、昨年末の高値からは2200円(約14%)を超す急落になった。
株高と株安の原因とは?
日経平均は売り注文が止まらず、ずるずると値を上げ、前日より610円661銭(4.18%)安い1万4008円47銭で取引を終えた。
今年最大の下げ幅で、約4ヶ月ぶりの安値になり、年末までの値上がり分は吹き飛んだ。
株高の原因
これまでの株高は、アベノミクスの「第一の矢」とされる日本銀行の大規模な金融緩和で「円安・株高が進む」という期待を高め、海外から呼び込んだ外国人投資家の15兆円を超える巨額投資が支えだった。
2月3日には米国の景気減速を示す指標が出て米国主導の景気回復への懸念も広がり、投資家の不安はいっそう強まっている。
世界市場の変調の原因は、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年(2014年)初めから、量的緩和の縮小を始めたことにある。
市場に流すお金のペースを緩めたため、投資家が世界の株式や新興国の通貨を買っていたお金を引き揚げている。
株安の原因
だが、米国の金融緩和の縮小で投資意欲がなえ、外国人投資家は東京市場でも一転して売り始めた。
「期待」が支えの投資は逃げ足もはやい。
お金がを引き下げた投資家たちは、値下がりで損が出るリスクが小さい米国や日本の国債を買って、「一時避難」している可能性がある。
海外資産を日本国債に換えるには円を買わなければならず、円が値上がりする。
2月4日は一時、1ドル=100円76銭と約2か月分半ぶりの円高水準になった。
今月(2月)に入り、日本の大手企業は2013年4~12月期決算が上向き、最高益が見込めるという発表が相次いでいる。
しかし、株安が止まらないのは、投資家たちが「その先」を見ているからだ。
世界株安と新興国の通貨安と新興国の通貨安が収まらなければ、海外景気の悪化が現実のものになり、輸出が減って日本企業の業績も伸び悩む。
新興国の動向
トルコや南アフリカなどは先週、通貨安を止めるため、金利を引き上げて投資家を引き留める「通貨防衛」に動いた。
だが、大した効果は上がっていない。
逆に金利上昇で景気が悪化しかねない状態に追い込まれ、市場では「通貨安が続ければ1990年代後半のアジア通貨危機のように各国に連鎖する」との指摘も出る。
だが、米国は緩和縮小の手を緩める姿勢を見せていない。
金融緩和は、世界不況のリーマン・ショックを止めるための一時的な措置で、景気が回復してくればやめるべきだと考えてるからだ。
米国自身の景気減速への懸念も出てきたなかで何も手を打たなければ、株安の出口は見えない。
今後の景気
株高で資産価値がふくらんだ人たちの消費もしぼみ、このところ増えていた腕どけや輸入車などの高級品の売り上げも鈍る恐れがある。
日本株をはじめとした世界の市場の不安定な動きは、しばらく続く可能性がある。
投資マネーの流出が止まらない新興国で景気悪化の兆しが出始めたからだ。
(朝日新聞2014/2/5記事より)