「ジュニアNISA(ニーサ)」は今年(2016年)から口座の開設の受付が始まったが、滑り出しが低調だ。
全国の金融機関が扱う「ジュニアNISA」の総口座数はおそらく10万に至っていない。
20歳以上が対象の「NISA」が、制度発足時の2014年1月末に200万口座を超えたのは対照的だ。
「ジュニアNISA」とは?「ジュニアNISA」口座の滑り出しが低調な理由は?

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「ジュニアNISA」とは?

「ジュニアNISA」は、子や孫の進学や就職に備えて、両親や祖父母らが0~19歳の子や孫名義で口座を開いて運用する。
2016年4月から運用できるようになった。

通常、株式や投資信託を売って得た利益や配当金の約20%が課税さえるが、年80万円まで最大5年間の投資が非課税になる。・・・①

口座を開く場合、親子それぞれの本人確認書類や親子関係を証明する書類、本人のマイナンバー(社会保障・税番号)を提出する必要がある。・・・②

原則として口座名義人が18歳になる前年まで非課税で引き出せない。・・・③

「ジュニアNISA」口座の滑り出しが低調な理由

「ジュニアNISA」が低調な理由は上記の①②③に原因がある。

①→口座を開くのに手間(②)取る割に非課税枠が少なく、うまみが少ない。

②→祖父母が孫と別居している場合が多く、面倒なやりとりで活用を明らめる人が少なくない。

③→中学・高校の学費に利用できない。

以上の理由に関連して信託銀行が扱う教育資金の「贈与信託」の存在がある。

「贈与信託」は、祖父母から孫1人につき1500万円まで贈与税がかからず、元本が保証されていて、こちらは人気が高い。

さらに低調な出足の背景には株式市場でさえない値動きが続いていることもある。
日経平均株価は昨年(2015年)末に1万9033円をつけたが、年明け以降は投資家心理が冷え込み、1万6千~1万7千円台でもみ合いが続く。

「ジュニアNISA」口座の滑り出しが低調なのは当然

野村証券によると、口座開設を希望する顧客の多くを祖父母と想定していたが、実際は両親が大半だったという。

これは考えてみれば当然で、祖父母は「贈与信託」で節税になるが、両親は制度を利用できなかった。

株価が低迷している中、開設する手間や運用次第でマイナスになることを考えると「贈与信託」が断然いい。

しかし、この制度、「贈与信託」にせよ、「ジュニアNISA」にせよ、そもそも、お金に余裕がある祖父母や両親が対象。

口座数を「NISA」と比べることに無理がある。
いわゆる富裕層レベルが利用者の大半を占めるのではないか?

「ジュニアNISA」口座の滑り出しが低調なのもうなづける話なのだが。
(朝日新聞2016/5/31記事参照)

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