日本取引所グループ(JPX)は、傘下の東京証券取引所で夕方以降も日中と同じように株式の売買ができるようにする「夜間取引」について、本格的な検討に入る。
「夜間取引」とは?
「夜間取引」とは、日中の取引時間を延ばし、個人投資家が夜も売買できるようにすること。
東証でも、主に機関投資家の大口売買のための「時間外取引」があり、朝夕の限られた時間帯に利用できる。
「夜間取引」の目的
「夜間取引」の導入には、日中働く人でも株取引しやすくし、海外市場に流れていた投資家を東京市場に引き戻すねらいがある。
東証の株取引は現在、午前9時~11時半と午後0時半~3時の計5時間できる。
サラリーマンらが勤務中に売買するのは難しいため、個人投資家を抱えるインターネット証券会社を中心に要望が強まっていた。
夕方以降に欧米など海外市場で取引する人が増えているため、東証にも危機感があり、内部で導入に向けた調査を進めてきた。
だが、売買注文を取り次ぐ証券会社の一部は、経費が増えることなどを理由に強く反対している。
大阪証券取引所の夜間市場
先物などのデリバティブを活発に取引するのは海外のヘッジファンドなどが多い。
欧米で取引が活発になる時間帯は日本では夜の為、同じJPX傘下お大阪証券取引所は、昨年(2013年)7月から夜間取引を開始。
夜間取引は、通常の市場が閉まった1時間15分後の午後4時半から翌日午前3時まで取引できる。
当初は午後7時までだったが、好評だったため延長を繰り返してきた。
大証のデリバティブ取引のうち、夜間の割合は約4分の1にまで成長。
日中も含む取引高が昨年、過去最高の3億2776万単位を達成する一因になった。
「夜間取引」の今後
東証で現物株の夜間取引が始まれば、現物株と先物などの間で生まれる価格差を使って利ざやを稼ぐ取引が伸び、大証の夜間取引も活発になる可能性がある。
ただ、「夜間取引」の導入には一部の証券会社から強い反対があり、賛同を得られたとしても実施は2015年度以降になる見込み。
(朝日新聞2014/1/18記事より)